2010年12月8日水曜日

【大臣会見】PISA2009について

【大臣会見】
・OECD生徒の学習到達度調査(PISA2009)について[高木文部科学大臣コメント](12月7日)
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1299985.htm

コメント:
PISAの順位が低下すると政策の失敗と結び付けられ、PISAの成績が良くなれば過去の政策の成果として提示されることになる。どちらにしても、PISAの結果はこれまでの教育政策と関連づけられる。しかし、その検証はどのように行われているのだろうか。
PISAの順位は相対的なものであり、参加する国・地域等の数は毎回変化している。PISAの結果を政策に活かすならば、国際的にみた順位の上下ではなく、日本の前回のテスト結果との比較が重視されるべきではないだろうか。

2 件のコメント:

  1. どうもけんぐりです。コメントにコメントします。長いので覚悟してください。なんちゃって。

    【PISAの順位は相対的なものであり、参加する国・地域等の数は毎回変化している。PISAの結果を政策に活かすならば、国際的にみた順位の上下ではなく、日本の前回のテスト結果との比較が重視されるべきではないだろうか】

    1.他の国の影響
    たしかに国際的な順位の変化には、他の国の影響が入ってきますよね。「他の国の教育力が毎年あまり変わらない」という前提をおかないと、日本の順位が上がったから日本の教育がよくなったとは言いづらいと思います。他の国が下がっただけかもしれませんし。この前提は正しいんでしょうか。個人的には、10年単位ぐらいじゃないと国の教育は変わらない気がします。

    2.難易度の問題
    あと、2006年のテストと2009年のテストの難易度が同じとは限らないですね。だから、2006年で60点とった子と2009年で60点とった子は「問題が同じくらい難しい」という前提がないと、同じ学力とは言えないと思います。この前提が正しいかは、ちょっと見当つかないですね。問題どういう風につくってるんだろ。

    3.量的より質的
    前提が怪しそうなので、テスト得点の比較はそんなに意味がなさそうです。よって、量的に比較するより質的に見ていった方が有意義な気がします。でも、実際に研究者にわかるデータは、個別の回答ではなくて、量的なテスト得点だけだったような。うーむ。

    4.「測っているもの」と「普段教えているもの」の違い
    あと、そもそもPISA型学力は学習指導要領に完全対応しているわけでもないので、日本の学力を測るのに適切かという根本的問題もありそうです。指導要領も変わりつつあるようですけどね。

    5.まとめ
    まとめると、PISAの結果は、マクロ教育政策の参考得点という感じがします。点数から個別の政策結果の是非を問うのは難しいと思いますが、マクロな教育政策を国別に評価する方法が他にあるかって言われると、なかなか思いつきませんので。参考得点。それ以上でも以下でもないのかなぁ。ちなみに、全国学力調査は、他の国がやってないので国別の評価としては使えないですね。当たりまえか。

    6.概念の広告塔
    ところで、PISA型読解力とか言われるように、新しい学力概念を広めるという点では、PISAはけっこう影響力あるように思います。読解力に情報を活用・批判する力が含まれるあたりは面白いと思いますよ。

    長文失礼しました。では!

    返信削除
  2. >けんぐりさん
    PISAについていろいろな観点を提示してくださって、ありがとうございます。PISAの影響は依然として大きいような気がしますね(気がします、ではいけないんですけど…)。個人的にはPISAを作った方の意図と異なる活用のされかたに関心をもっています。
    ※コメントがスパムとして認識されていることにさきほど気づきました…本当にごめんなさい(T0T)

    返信削除