2010年10月21日木曜日

苅谷剛彦『知的複眼思考法』

苅谷剛彦『知的複眼思考法』講談社、1996年.

構成:
序章 知的複眼思考法とは何か/第1章 創造的読書で思考力を鍛える/第2章 考えるための作文技法/第3章 問いの立てかたと展開のしかた―考える筋道としての〈問い〉―/第4章 複眼思考を身につける

コメント:
・自分の頭で考える力を身につけるための基本的な方法について述べたテキスト。これまで自分で取り組んできたことを振り返りつつ、確認しつつ読むことができた。重要なポイントはいくつもあったが、印象に残った点をいくつか挙げたい。
・まず、テキストを読む際には「著者と対等な立場に立つ」ということ。これは、「〔著者が―引用者〕ほかの可能性の中でそれぞれのことばや表現が選ばれていった末に、目の前の活字になっている」(p.53)ということを理解することである。(最近は書くことに苦悩していたので、ひしひしと身にしみます…。)いろいろな表現がある中で、どのような言い回しが一番ふさわしいのか。そのような思考錯誤の「テキスト」の集積なのだと思うと、文献に対する姿勢も変わってくる。
・次に、第3章の「問いの立てかたと展開のしかた」である。漠然としたかたちの疑問をどのように「問い」とするのか。ある意味で無限の可能性が存在する中で、どのような問題として切り取るのか。そのプロセスの一端が示されていて参考になった。自分自身の研究についても、今後もっと意識してやっていきたいと思う。
・もうひとつは、第3章で取り上げられていた「概念」についての説明である。「概念」「ケース」「定義」と区別した上での説明がとてもわかりやすかった。
・最後に再認識させられたのは、文章として考えをまとめることの重要性である。「書くという行為は、もやもやしたアイデアに明確なことばを与えていくことであり、だからこそ、書くことで考える力もついていく」(p.86)という著者の指摘はごもっとも。普段はどうしても読むことが中心となってしまって、じっくりと書く時間を確保できていない気がするので、アウトプットすることを心がけていきたい(このブログを始めたのもその一環だったし!初心忘れるべからず)。
・今後も折をみて参照したい文献。

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