近藤敦「日本における外国人のシティズンシップと多文化共生」(pp.119-151.)
辻村みよ子・大沢真理編『ジェンダー平等と多文化共生―複合差別を超えて―』東北大学出版会、2010年.
※東北大学グローバルCOE(GCOE)「グローバル時代の男女共同参画と多文化共生」プログラム
「多文化共生社会におけるジェンダー平等」研究プロジェクトの共同研究の成果
(http://www.law.tohoku.ac.jp/gcoe/)
構成:
1 はじめに―新たな政策用語としての多文化共生/2 外国人のシティズンシップの展開/3 憲法と国際人権諸条約/4 入管法と国籍法/5 多文化共生の法制度の指標:政治・経済・社会・文化・法的共生/6 おわりに―ジェンダー平等と多文化共生
第1節:
・目的(p.119)
在住外国人の法制度をめぐる日本の特徴と問題を明らかにし、多文化主義的な法制度に向けた課題(の抽出?)を諸外国との対比のうちに行う。
・多文化共生/共生という用語―訳の例示(p.119)
multicultural living-together, multicultural conviviality, multicultural coliving, multicultural coexistence, multicultural symbiosis/living-together, Zusamenleben,samenleven, vivre ensemble
「共生は、異なる人々の平等な参加を意味する日本語であり、ヨーロッパ諸国でいう『統合』に近い意味をもつ。多文化共生は、カナダやオーストラリアなどの多文化主義とは必ずしも一致するものではない」
cf) Yamawaki(2008)
「多文化共生という用語は、日本オリジナルなものであるが、類似の表現がヨーロッパ諸国にもないわけではない。…また、統合と共生は、一定の互換性を有する概念ともいえる。」(p.120)
ex) 政策の対象の広がり方
「多文化共生政策という場合は、同化政策としての意味合いをもたせにくく、多文化主義的な統合政策を意味する。多文化と共生は2つの内容をもっている。共生は統合とかなりの程度重なるものであり、市民的・社会的・経済的・政治的権利の保障を内容とし、多文化の方は文化的権利の保障を内容とすると考えることができる。」(p.121)
・日本の多文化共生政策の理念―総務省(p.121)
スウェーデンの多文化主義的な統合政策の3つの目標との共通性がある
(①選択の自由/②平等/③協同)
第2節:
1979年 国際人権規約の批准
1981年 難民条約への加入
…「内外人平等原則」に基づく社会保障法の改正
1985年 女性差別撤廃条約の批准
…父系血統主義から父母両系血統主義の国籍法に
1990年 改正入管法の施行
…日系人とその家族に永住類似の在留資格「定住者」
※更新が必要・在留活動に制限なし(就労可)
1991年 入管特性法
…旧植民地出身者とその子孫に「特別永住者」の地位
第3節:
(1)外国人に保障される「権利の性質」を判断する基準を何に求めるのか
(2)憲法と国際人権諸条約との整合性をどのように担保するのか
第4節:
(1)在留資格が細分化されていて、職業の自由の制約が大きい
(2)永住許可の居住要件が帰化の居住要件よりも長く設定されているのはなぜか
「法務局の入国管理局と国籍事務を担当する民事局との調整がなされず、総合的な移民政策(入管政策と統合政策)の担当部局を欠く組織的な要因にあるものと思われる。」(p.133)
(3)届出と生地主義の要素が乏しく、複数国籍防止が原則
第6節:
「2003年に、…『多文化共生社会基本法』の提言を行ったことがある。その研究会の折に、…多文化共生を広く捉えるかどうかを議論したことがある。結局は、マイノリティの幅広い差別禁止の問題は、当時、国会で審議されていた『人権擁護法案』に譲り、『多文化共生社会』の定義は、もっぱら外国人と民族的少数者の社会参画の問題に焦点を当てることにした。この定義が、総務省の推進プランをはじめ、政策用語として使われつつある」(p.144)
cf) 外国人との共生に関する基本法制研究会『多文化共生社会基本法の提言』2003年(http://www.kisc.meiji.ac.jp/~yamawaki/etc/kihonho.pdf)
コメント:
第6章の記述に着目。日本の多文化共生政策がその対象を限定した一つの理由となるかもしれない。政府側に都合のよい解釈となった可能性もある。
[8/18―修正]
2010年8月12日木曜日
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