2010年9月21日火曜日

クリスティーヌ・ロラン-レヴィ『欧州統合とシティズンシップ教育』

クリスティーヌ・ロラン-レヴィ、アリステア・ロス(編著)『欧州統合とシティズンシップ教育―新しい政治学習の試み』(中里亜夫、竹島博之(監訳))明石書店、2006年.

●アリステア・ロス、クリスティーヌ・ロラン-レヴィ「第1章 イントロダクション―今日のヨーロッパにおける政治的成長」(pp.11-35.)
・重層的なアイデンティティに対応する政治制度
「政治制度に対する忠誠のあり方も多様な形をとることになるであろう。そうなれば政治制度それ自体も、個人のアイデンティティのこうした複雑さに対応する中で、より一時的なもの、多次元的なもの、潜在的に断片的なものへとなっていくであろう。」(p.16)

●アリステア・ロス「第2章 子どもたちの政治学習―『概念に基礎をおくアプローチ』対『論点に基礎をおくアプローチ』」(pp.36-61.)
・ヨーロピアン・シティズンシップ
「新たなヨーロッパに依拠した新しいシティズンシップないしアイデンティティの観念は、国民国家における従来型のシティズンシップと明らかに異なるものでなければならない。すなわちそれは、これまでのように自民族中心主義的ではなく、より多様で包括的なものであり、ナショナリスティックな考え方とは結びつかない観念である。」(p.43)
「排外主義、人種主義、そして彼ら〔―ヨーロッパ・シティズンシップの促進に関心をもつ人〕が将来問題になると見ている『ローカルな』ナショナリズムを過剰に強調する主張、こうしたものに対抗するものとして『ヨーロッパ・シティズンシップ』に期待しているのである」(p.45、〔〕内引用者)

●イアン・デイヴィス、トニー・ソープ「第3章 市民としての思考と行動」(pp.62-89.)

コメント:
ロスの主張は、ヨーロッパレベルのシティズンシップを促進することによってナショナルレベルのシティズンシップを相対化することにある。その際に問題視されているのは、過剰なナショナリズム(自民族中心主義)である。気になるのは、ネイションに対してヨーロッパという存在が善なるものとして、またある種の統一体として対置されているように思える点である。さまざまなレベルにおける多元性をどのように捉えるのか?

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