2011年8月5日金曜日

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』岩波書店(岩波文庫)、1982年(初版:新潮社、1937年).

・関係性を問う学問
「君が大きくなると、一通りは必ず勉強しなければならない学問に、経済学と社会学がある。こういう学問は、人間がこんな関係〔=「生産関係」〕をつくって生きているということから出発して、いろいろ研究してゆく学問だ。」(p.93、〔〕内・強調引用者)

コメント:
人間が関係性の網目に組み込まれているということ。社会学や経済学はそれを前提として問いを提起する学問であるということ。人と人との関係がつながっているという思想から出発しているのだ。専門にしてきた人からすれば当たり前のことなのかもしれないが、わたしには新鮮だった。逆に言えば、「わたしには関係ない」という考えでは話が始まらないということ。(逆にそこから話を始めるということもあるのかもしれないが。)これは社会科学全体に当てはまることなのではないか。経済学では「生産」や「交換」という関係性が中心に分析されるだろう。社会学は?教育学や政治学に置き換えると、どうなるだろう。人は自分が行っていることを知っていても、その法則を知っているわけではない。

・社会認識と道徳
「この1930年代末の書物に展開されているのは、人生いかに生くべきか、という倫理だけでなくて、社会科学的認識とは何かという問題であり、むしろそうした社会認識の問題ときりはなせないかたちで、人間のモラルが問われている点に、そのユニークさがあるように思われます。」(丸山真男、pp.310-311.)
「戦後『修身』が『社会科』に統合されたことの、本当の意味が見事にこの『少国民文庫』の一冊のなかに先取りされているからです。」(同上、p.325)

コメント:
この点についてさらに考察する必要あり。

メモ:
初心にかえる本。高校生の時に読み、大学院に入って読み、そして就職して読み直した。今回は「関係性」のことが気になって「人間分子の関係、網目の法則」を目当てに読んだ。全体的な内容については忘れているところもあり、読むたびに新しい発見がある気になる。その時々で少しずつ成長するコペル君になる。

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